四学のすすめ

四学 とは かつて古代ローマでリベラルアーツに定義された数学系4学と中国の古典の「蔵学 修学 息学 遊学」をかけています。

キングダムと理系思考

 最近好きになった「キングダム」。

 各武将の生き様や戦闘シーンがよく描かれていて、往年の少年漫画を彷彿とさせてくれます。とても面白いです。

 

 54巻の巻末に、作者の原泰久さんのインタビュー記事がのっていました。

 その中に「『キングダム』を設計する理系思考」と題した箇所がありました。

 

・キングダムは「史記」という中国の歴史を元に作られているが、史記の中身を整理するために、Excelを使って自分なりの年表にリライトしている。

・限られたページ数の中で、また2ページごとに紙をめくらないといけないという制限の中で、状況を伝えて読者を驚かせねばならない。大きいコマで圧倒したり、小さなコマでリズムよく読ませたりという緩急が必要。そういったシナリオの構築は、数学的な作業のように行う。「何を見せるために、何を引き算するのか」ということ。

 

 なるほど。こういう考えを用いて、あの名シーンが生まれたのか、と思いをはせるのもいいですね。

 新学習指導要領では、端的に言えば各教科を学ぶのは知識を学ぶのではなく、「考え方」を学ぶのだと主張しています。

 

 原さんの思考が数学から生まれたというエピソードを、生徒に伝わるように伝えたいと思います。

自転車と学び

 三男は、今年保育園の年長さんです。お兄ちゃんの真似が大好きで、なんでも同じようにしないとすぐすねます。ほっておくと、5分に1回ぐらい次男とケンカをしています。よくしゃべり、黙っているのはご飯を食べているときか、寝ている時だけ。写真を撮ろうとすると、変顔しかしてくれません。

 そんな三男が、「自転車に乗りたい!」と突然言い出しました。おおそうか、と練習をはじめました。

まずはストライダー(ペダルなしの自転車のようなもの)で練習。足を地面から離しても安定するような感覚がなかなか手にはいらないんですよね。1週間ほど練習して、いよいよホンモノの自転車へ。最初は補助輪をつけて練習。何回かロード(といっても近所の道路です)で練習しましたが、どうも、補助輪の摩擦で自転車が変な方向に向かうので、思い切って補助輪を外しました。不安そうな三男。

 アスファルトだと不安そうなので、グラウンドに行きました。私が横について背中をおし、スピードに乗せ、ペダルをこがせるも、1秒もしないうちにブレーキ。怖さが先にあるようです。「遠くを見て、思い切ってスピードにのると安定するんだよ。ずっと横にいるから大丈夫」と声をかけ、がんばれ、がんばれと励ましながら練習を続けました。何度も転び、服はどろだらけ。「いて~」といいながら、自転車を起こし、また練習。やっと5mほど自分で乗れた時、ガッツポーズをしていました。次の日の朝、私の体のいろんなところが痛かったのは、よしとしましょう。その笑顔に免じて。

 

 今の学校における生徒たちの状況も似ているのではないでしょうか。

 自分で学ばねばならない、この特殊な状況。子どもたちの学びに差が生まれていることは、様々な報道でなされています。

「自分で学ぶ」とはものすごくレベルが高いことを要求しています。

 もうできている生徒は大丈夫です。その気になれば、どれだけでも学べる環境がある時代です。

 でも、正直学ぶことが自分ではできない生徒が多いのではないでしょうか。

 

 自転車に乗れるようになることと、子どもが学べるようになることは似ています。

 まず、大人がどうやって練習をするのかを教える。

 そして、なかなかできるようにならないので、できるまで側にいて励まし続ける。

 最後に、手をはなしても乗れるようになったら、思いっきり喜ぶ。

 一度、自転車に乗れるようになったら、ずっと大丈夫。

 

 「学ぶ」ということを学ぶのも同じ構造だと思います。

 

タイトルについて

四学のすすめというタイトルについて

四学は2つの意味をかけています。

1つは、古代ギリシアで学ばれていたと言われる

言語系3学(文法・論理・修辞)

数学系4学(算術・幾何・天文・音楽)

で構成されるセブンリベラルアーツの4学の方。

数学的な見方で、世の中を見ることも面白いのでは。

もう1つは、中国に伝わる学びの4つの段階。

蔵学 修学 息学 遊学

学ぶことを楽しめるようになると、人生楽しいと思います。

 

コロナ旋風が吹き荒れ、臨時休校が続き、子どもたちの学びはこれまでに直面したことのないような状況が生まれています。

学ぶことを楽しいと感じている子ども(それを支える保護者を含め)と

学ぶことが義務でしかない子どもは、大きな差が生まれていると思います。

 

学ぶことは楽しいのだと、伝えていきたいと考えています。